グラスゴー美術大学(イギリス)
小島 平莉
私はイギリス・スコットランドにあるグラスゴー美術大学ファッション&テキスタイルデザイン学科テキスタイルコースに4ヶ月間留学しました。本来3年生後期に留学予定でしたが、コロナ禍で渡航が延期となり、1月から5月末までの留学となりました。3年生の履修を終え、多くの技術と知識を習得した後に留学したことは結果としてよかったと感じています。
留学先では3年生の2学期の授業に参加しました。刺繍、織、ニット、プリントから好きな技法を選択するのですが、私は刺繍を選択しました。実習室には多種の機材が置かれたミシンルームがありました。また自由に使用できる素材が沢山あり充実した設備で学ぶことができました。技法を学ぶワークショップに参加し、制作したサンプルを元に先生の指導を受け、またサンプルを作るという日々を過ごしました。
いくつかの課題の中から『身体のためのテキスタイル』『個人プロジェクト』『デザイン・ドメイン』『DHT』を受講しました。『身体のためのテキスタイル』は人間の身体に合うテキスタイルを制作する課題です。実際に着れる服を作る必要はなく、体に沿った形や構造、柄などテキスタイルに集中して考えます。どのようなコンセプトであるかだけでなく、ビジュアルや構造のユニークさ、どのような作風を目指すかが重要とされており、作品プロセスの明確さ、ドローイング方法がテキスタイルをより面白くするために有効かどうかも指導の対象でした。プライマリーワークとして一次調査(分野を越えてのデザイナー、アーティストの作品資料収集)、二次調査(それを踏まえ自分の集めた画像資料)、ドローイング、3Dドローイング、サンプル制作、本番サンプル制作の順で、この軸に沿うように進めていくことが推奨されていました。最終的には各自サンプルとプロセスを机に展示し、先生からフィードバックを受けるという流れでした。そしてファッション&テキスタイルの学生たち全員が参加する学外ファッションショーで他の生徒たちと一緒に展示もさせていただきました。
『個人プロジェクト』では、テキスタイルのための3Dドローイングが苦手なことをご指摘いただき、段ボールを使用し立体的に構造を試行錯誤できるようになったのは、この課題に取り組んだ成果と感じています。帰国後に取り組む卒業制作に向けて、どのように作品を作り上げるかの基礎が整ったような手応えを実感しました。
4ヶ月だけでは英語の語学力自体が急激に上がるということはあまりありませんが、恥ずかしがらずに話し出すという瞬発力は身についたと思います。フラットメイトたちが私の拙い話をしっかり聞いてくれたことがモチベーションにつながりました。留学生活終盤では、英語が上手になったねと言ってもらうことができ嬉しかったです。
私は留学を通し日本だけでなく海外全体に意識を向けるになりました。例えばウクライナの件ではヨーロッパは陸続きなためイギリスはとても近く「ヨーロッパ全体で問題を共有する空気」を肌で強く感じました。またロンドンとパリには美術館が数え切ないほど沢山あり、建築物など素晴らしいもので溢れていました。留学を経験したことで、それぞれの文化を尊重し個人として交流できるようになりました。もっと多くの国々をまわり、世界中の人々1人1人と向き合えるようになりたいと思いました。