グラスゴー美術学校(イギリス)
馬場優那
- 編み実習
- 中間発表
- 3Dドローイング
- 建物内の様子
- キャンパス
- グラスゴーのまち
私はイギリスのグラスゴー芸術大学(GSA)に留学しました。コースはファッション&テキスタイルデザイン学科のテキスタイルコースに所属しており、3年生として学んでいます。留学してから約3ヶ月が経過し、11月に入り留学生活の半分を過ごしました。日中の時間が短くなり、寒さも一段と厳しくなっています。風邪を引き、ホームシックにもなりましたが、現在は充実した学生生活を送れて、毎日が楽しいです。GSAのテキスタイルコースは織り、プリント、刺繍、ニットの4つの部門に分かれています。私はその中でニットを選びました。
**課題について**
留学前に夏休みの課題として「Summer Project」が与えられました。「お花、建築と幾何学図形、人物、伝統的な柄を現代風に変換」の4つのテーマから一つを選び、色彩研究やドローイングを行うという内容でした。私は「建築と幾何学図形」を選び、学校が始まる前なので戸惑いながらも、好きなようにドローイングをしました。学校が始まり、ドローイングを担当の教員に見せると、「このドローイングをニットに変換するのは難しいから、もう少し表面的な建築物の構造を捉えてみよう」とアドバイスをいただきました。少し自由に書きすぎたようです。
教員のアドバイスを受け、一旦紙に書くのをやめて、3Dで様々な素材と組み合わせながらドローイングを試みました。3Dドローインクはあまり作ったことがないので非常に良い勉強になりました。
現在、私がGSAで取り組んでいる課題は「Transcal Project」というものです。「Transcal」とはグラスゴーにある車などの乗り物の内装をデザインする会社です。そこのテキスタイル部門のスタッフたちに、自分のデザインしたテキスタイルデザインを提案するというのが今回の課題です。乗り物のデザインといってもかなり自由で、私達の自由な発想をスタッフは求めているような感じでした。ここで前述した「Summer Project」と繋がるのですが、デザイン制作する際にこのsummer project で作成したドローイングを参考にデザインしていきます。ですので私は3Dドローイングを基に、ニットで乗り物のテキスタイルデザインを制作しています。中間発表が2週間前に終了し、現在は本番の作品に向けて制作中です。
**設備に関して**
GSAではほぼ全ての生徒に作業スペースが割り当てられています。パーティションで区切られているため、集中して作業するのに非常に良い環境です。他の生徒たちの机を自由に見ることができ、制作工程を観察できるため、良い刺激になります。生徒たちの個性が机に表れているので見ていて楽しいです。また、グループ面談というシステムも興味深いです。生徒2〜3人と教員2人で進捗を発表する小規模な会議形式は、お互いの意見を自由に発言しやすいので、とても良いシステムだなと思いました。またグループ面談では手の空いている生徒が議事録を取ってくれるので、私のように耳からの情報が苦手な生徒にとっては非常に助かります。
ニットを学ぶ際には、学校からニットの技術が記載されたプリントが提供されます。そのプリントにはQR コードが載っていて それを読み込むと、ニットの技法が動画で分かりやすく説明されています。これは教員がその場にいなかったり、技法を忘れた時にとても便利だなと思いました。また、ニットの素材となる糸も無料で使えるため、課題に取り組みやすい環境が整っています。
**教育の違い**
教育の違いとして、リサーチやドローイングに重点を置く傾向があります。授業でもリサーチとドローインクにかなり時間を使っています。私もGSAに来てからデザインの進め方がすこし変わったような気がします。例えば以前の私の場合、建築からドローイグを描くとしたら自由に解釈して描いていましたが、GSAに通うようになってからは、建築の特徴や質感に注目して描くようになりました。具体的には、この建築の凹凸が美しいからそれを忠実に表現しよう、このガラスの質感はザラザラしているからそれに近い質感の素材を使って表現しよう、といった感じです。以前もリサーチやドローイグを大事にしていたのですが、かなりうやむやな部分があったり、なんとなく自分が良いと思ったからといったアプローチで進めていた様な気がします。GSAでは何が良いのか、どこからインスピレーションを得るのかをもっと論理的に具体的に考えるようになりました。
色に関しても、自分の好みや得意な色ではなく、絵画や写真から色の組み合わせを学び、それを取り入れるようにしています。GSAは参考となるモチーフから忠実にデザインを抽出しているようなイメージがあります。
**グラスゴーについて**
グラスゴーは非常に国際的で治安も良いです。地元の人々やGSAの教員も親切でサポートが手厚く、とてもフレンドリーです。イギリスに来て最初に驚いたことは、バスを利用する際に手を上げて停めるという習慣ですが、今では慣れました。残り2ヶ月、文化の違いを楽しみながら学校生活を満喫したいと思います