グラスゴー美術学校(イギリス)
徐 暁凡
- キャンパス内
- グラスゴー美術館
- シルクスクリーン授業
- ハロウィンイベント
- 製作過程
- デザイン画
授業について
私が交換留学したのは、グラスゴー美術学校(GSA) のテキスタイル学部です。ここでは、3年次になると自分の興味に応じて技術課を選択し、その技術を作品制作に活かすことができます。私は プリントコースを選び、週に2~4回授業を受けました。授業の初めは技術指導の先生がプリント技術を教えてくれますが、後半は主に自主的な探求が中心で、作品制作に向けて多くのサンプルを作成しました。私は植物顔料を使ったプリントに挑戦し、反応剤の違いによって植物顔料が面白い色の変化を見せることに気づきました。また、毎週tutorialの授業があり、個別指導の形式が取られています。指導教員が学生の最近の成果について話し合ったり、グループディスカッションでお互いの進捗を共有し、学び合う場となっています。学期中には リーディングウィーク(reading week)が設定されており、学生が自主的に調査や学習を進める期間があります。全体的に、ここでは学生が自分で計画を立て、独自に研究を進める能力が非常に重視されています。
選択科目にあたる DHT課では、いくつかの科目から興味のあるものを選んで履修します。私は ポストコロニアル理論とデザイン(Postcolonial Theory and Design) を選びました。この授業では、デザインと植民地主義の関係について議論します。例えば、ヨーロッパの文化的覇権がアジアやアフリカのデザインにどのような影響を与えたのか、またデザイン作品に偏見が含まれているかどうかをどのように判断するかといったテーマです。授業ではグループディスカッションや大量のリーディング資料が提供され、理論の理解が深まるよう設計されています。
設備について
私が選んだプリントコースでは設備が充実しており、多摩美術大学の大きな印刷台と比べると小規模ですが、十分な機能を備えています。技術の使用には厳しい制限はありませんが、安全管理 が非常に厳格です。印刷用の顔料を作る際には、必ず防護服、手袋、またはマスクを着用し、作業場でのみ操作する必要があります。
図書館について
グラスゴー美術学院の図書館の1階と2階では、美術関連の書籍を中心に貸し出しが行われており、リソースは非常に充実しています。また、グラスゴー大学の図書館や地域の公共図書館も無料で利用可能なため、資料が不足することはありません。3階はコンピュータ室で、印刷や収集したインスピレーション資料の加工や整理に利用できます。さらに、図書館には映画鑑賞室や学習室、ディスカッションルームなどもあり、事前予約で自由に使用できます。
キャンパスについて
日本のような一か所に集約されたキャンパスとは異なり、GSA の校舎はグラスゴー市内の各所に分散しています。例えば、午前中に丘の上の校舎で授業を受けた後、公園を抜けて午後の授業に向かう、といった具合です。このような地理的配置は、キャンパスと都市生活が一体となった新鮮な体験をもたらしてくれます。学校では校外活動が定期的に企画されており、多くの学生団体や自主的な学生イベントも盛んに行われています。
画材について
多摩美術大学とは異なり、GSA の校内では基本的な材料(布や紙など)しか販売されていません。ほとんどの美術用品は校外の提携画材店で購入する必要がありますが、品揃えが非常に豊富で、世界中から集められた専門的な画材が揃っています。日本製の画材も非常に人気がありました。
まとめ
欧米の学習環境は日本と大きく異なり、グラスゴー美術学校では自主性や個人の創造力の育成が重視されています。この自由でありながら厳格な環境は、私の専門的なスキルを向上させるだけでなく、デザインの思考や国際的な視野を広げる大きな機会となりました。