卒業制作優秀作品

大野 智幾

革を織る

自然が生み出す秩序は色彩や質感を整え、この世界を圧倒的な美で構成しています。
その世界において人間は文明を築き、ものを作り続けてきました。自然界には、動物の皮という美しい産物があります。私は織りの技術を用いて、人為的な造形がこの自然美による造形に代わることができるのかという問いに挑みました。織ることで素材に命を吹き込みます。呼吸さえ感じる力強い布は自然界に生きる動物の佇まいを表現します。美しい革を纏う動物たちが乱獲の危機に晒される中、風格あるサイ、太陽の鳥オウム、柄にもないレオパード、あるまじきアルマジロ親子、ふわふわワニ−紅と白、ロングイグアナ、夢見るサンショウウオ、ポケットフクロウという、9種類の個性的な動物革を生み出しました。