オスロ国立芸術大学(ノルウェー)
岡本風愉

私はオスロ芸術大学、大学院のデザイン科ファッション&コスチュームデザインコースで勉強しています。在籍するファッションコースの院生は私を含めて7人です。ファッションコースではありますが、大学院ということもあり理論や考えを深めることに重きが置かれています。インテリアデザイン、グラフィックデザインの学生と共に講義を受けることや、ディスカッションする機会も多くありました。おかげで他学科のデザインプロセスや考え方を知ることができました。インテリアデザイン、ファッションデザイン、グラフィックデザインの学生が同じ部屋に作業机を持っていおり、賑やかな雰囲気があります。

私はオスロに来てからというもの、大学の課題とは別に日本から持ってきた布に絵の具で描くことを続けていました。持ってきた布にはくたびれたシワがあったのですが、私はそのシワに時間の経過や人の痕跡のようなものを感じました。そこで布のシワを見つけては、それに沿うようにして描いています。私が布に描くことで、布のシワというネガティブなイメージをもつモチーフの価値を変換できないだろうか、オスロに借りたアパートの一室でしわくちゃの布と向き合い続けています。その作品を見た友人が学外ギャラリーでの展示に誘ってもらい、インスタレーション展示と作品展示を行うことができました。言葉に不自由しながらも、友人と二人でコンセプトを練り、制作を行えたことは素晴らしい経験でした。展示を見に来てくれた人にも作品の意見を聞くことができました。

展示終了後も布のシワをテーマに制作を進めています。描く以外にシルクスクリーンの技法を用いて制作もしています。シワの形をトレースして、スクリーンプリントの版を作り、3mほどの布にプリントしています。大学での最終プレゼンテーションでは、言葉で伝えきれない分、たくさんの作品とともに発表しました。簡単に伝えられない分、伝わったときの嬉しさがありました。残り1ヶ月となりましたが、引き続き制作に励みたいと思います。