卒業制作優秀作品

池部 ヒロト

phantom in the cocoon

人としての衣を脱ぎ去り、たとえ姿かたちが見えなくなろうとも残るものがある。
目に見えぬ大きな何か、それは残された私たちをやさしく包んでくれる。
お蚕が新たな物語を紡ぐためにゆっくりと自らを繭で包むように私たちもまた移ろいゆく時の中で誰かを守り、包むための”記憶を宿した殻”を作り上げているのかもしれない。
それは生まれた土地に吹く風に、踏みしめる土に還り、やがて遠い先の未来に新たに芽吹く記憶の一部となる。